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最高裁判所第二小法廷 昭和51年(オ)839号 判決

主文

理由

上告代理人臼杵敦の上告理由第一点について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審の認定にそわず若しくは上告人の主張しない事実に基づいて原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。

同第二点について

建物保護法一条二項(昭和四一年法律九三号により削除前のもの)の解釈上、建物が土地賃貸借の期間満了前に滅失したときは、土地の賃借人はその後の期間をもつて第三者に対抗することができないが、右建物の滅失が、第三者である新地主においてこれを不法に取りこわしたことによるものである場合には、右第三者が前同条項を根拠に賃借人の対抗力を否定することは許されないものと解するのが相当である。原判決は、右と同旨の見解に立ち、その適法に確定した事実関係をもとに上告人の主張を排斥したものであつて、その判断は正当として是認することができる。所論引用の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

(裁判長裁判官 大塚喜一郎 裁判官 岡原昌男 裁判官 吉田 豊 裁判官 本林 譲 裁判官 栗本一夫)

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